インドの自動車市場は2008年度12月度において対前年同月比47%減を記録した。特に中・大型商用車の販売は、対前年同月比69%減というかってない大幅な販売不振に陥った。一方、軽商用車における12月の販売台数は対前年同月比29%減の9,245台にとどまった。インド政府はこの急激な市場の冷え込みに対応すべく、会計年度末(インド企業の会計年度は4月1日から翌年の3月末)までに商用車を購入した場合50%の減価償却を認めるという経済対策を打ち出した。
乗用車の国内販売は対前年同月比31%減少した。企業別ではタタのインディカが29.8%減の6,749台、SUVのスモとサファリが58.8%減の1,416台であった。マルチスズキの販売台数は3か月連続で減少した。マルチの販売台数は昨年12月の62,515台から約10%減の56,293台にとどまった。またマルチ800は対前年同月比59.6%と、大幅に落ち込んだ。ゼネラルモーターズの販売台数は36%減少し、2007年12月の6,309台から4,041台に縮小した。ただ、同社は年後半に販売が減少したものの、2008年度全体の合計販売台数は65,702台で、2007年度から9.5%の増大は確保できると予想している。現代自動車はインドで第二位の自動車メーカーであり、ナンバー1の自動車輸出企業であるが、厳しい景気後退により、2008年の12月には対前年同月比55.7%の販売減少に見舞われた。この数字は2007年度の12月に国内販売で19.3%増、輸出で96.8%増の躍進を遂げた一昨年と比較すると天国から地獄に落ちたような状態と言える。
二輪車分野もこの急激なリセッションの影響を避けられず、市場全体で対前年同月比の75%の販売に落ち込んだ。ヒーローホンダは10%減の21.6万台から24万台と10%の販売減だった。バジャジオートでマイナス33%の17.7万台から11.9万台へと販売台数を減らした。
インド自動車市場市場の部門別データ
生産台数
2008年度4月-11月の8ヶ月間累計の生産台数では対前年同期間比6.56%の成長を確保したが、11月から2か月連続で対前年の生産台数を下回わり、2000-2001年度の市場減退をはるかにこえる市場後退局面に入った。
国内販売台数
国内販売台数乗用車部門全体の販売台数は2008年4月-11月間の対前年同期比で1.1%の成長にとどまった。サブカテゴリー別では、普通乗用車で0.48%増、ユーテリティー車で0.21%減、多目的車で12%増であった。だが、2008年11月の乗用車販売台数は、各サブカテゴリーすべてが減少し、全体でも対前年同月比で23.71%減少した。
商用車販売台数
商用車部門全体の累計販売台数もマイナス成長で、2008年4月から11月の8カ月間では対前年同期間比で-9.35%であった。内訳としては中・大型商用車が-16.88%の大幅減、軽商用車-0.26%の比較的軽い落ち込みで済んだ。ただ、2008年11月は急激に市場が冷え込み、商用車市場全体で、対前年同月比-49.51%に販売台数が急落した。中大型商用車が63%減、軽商用車で33%減であった。中大型商用車のなかでは中大型バスが32%減、小型バスでも26%減になり、バス部門は2008年の6月を除き、4月より11月まで対前年同月の売上を下回っている。
三輪車販売台数
三輪車販売台数は2008年4月-11月の8ヶ月間で-3.37%と四輪車と比較して販売減少の落ち込みは軽微ですんだ。これは乗用三輪車の伸び(16.63%増)が商用三輪車のマイナス(-36.9%)をカバーしたことが原因だ。ただ2008年11月は三輪車全体で-23.12%減となっている。二輪車の販売台数は2008年4月-11月の8ヶ月間で3.76%拡大した。カテゴリー別には、モペッド(+4.57%)、バイク(+2.89%)、スクター(+7.48%)と、全てプラス成長であった。ただ二輪車の販売台数も11月には対前年同月比で14.68%のマイナス成長になった。
輸出
自動車部門の輸出は2008年4月-11月の8ヶ月間で、対前年同期間比33.03%増であり、商用車を除いてプラス成長だった。カテゴリー別では乗用車(66.39%増)、二輪車(30.98%増)及び三輪車(11.69%)と各部門で成長を維持したが、唯一商用車(6.77%減)がマイナス成長だった。
執筆者:(株)ディーアールアイ 小椋貴央
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